こんにちは。唐辛子の伝道師・伊藤です。
今回のブログは、世界一辛い唐辛子「キャロライナ・リーパー」について。
「え? 一番辛い唐辛子ってハバネロじゃないの?」
違うんです、実は違うんですよ。
某お菓子にてその名が広く知れたので、世界一辛い唐辛子=ハバネロと思っている人もいるかもしれません。
しかし、このブログで紹介するキャロライナ・リーパーは、少なく見積もってもハバネロの5倍は辛い唐辛子です。
職場の同僚や親しい友人、はたまた出会いの場なんかで「知ってる? 世界一辛い唐辛子は『キャロライナ・リーパー』っていうんだよ」なんて雑学を披露してみてはいかがでしょうか? もしかすると煙たがられるかもしれませんが…笑。
このブログは少し長いので、記事の上半分「キャロライナ・リーパーの概要」を前編、下半分の「キャロライナ・リーパーを食べてみた!」を後編としてお読みください♪
【前編】キャロライナ・リーパーの概要
キャロライナ・リーパーとは
まずは概要について。
キャロライナ・リーパーは、2017年10月現在「世界一辛い唐辛子」としてギネス記録に認定されている唐辛子です。
「シネンセ種」という種類に分類され、栽培品種名は「HP22B」と言います。何だか戦闘機みたいですね。
後に詳しくご紹介しますが、キャロライナ・リーパーは人の手によって作られました。2011年までギネス王者として君臨した「ブート・ジョロキア」と、日本でも有名な「ハバネロ」の交配により生み出された品種です。
2013年8月7日に「世界一辛い唐辛子」としてギネス記録に認定
キャロライナ・リーパーがギネス記録に認定されたのは、2013年8月7日でした。そのときのスコヴィル値は157万スコヴィルで、個体によっては220万スコヴィルを超えるものもあります。
ちなみにスコヴィル値とは、ざっくり説明すると「辛さを表す数値」のこと。比較対象としていくつか例をあげると、次のようになります。
- ピーマン、シシトウ…0スコヴィル
- タバスコ…1,500~2,500スコヴィル
- ハバネロ…25万~45万スコヴィル
- ブート・ジョロキア…100万スコヴィル
- トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー…146万スコヴィル
- キャロライナ・リーパー…220万スコヴィル
スコヴィル値については、本サイトの別ブログでも紹介していますので、興味のある方は読んでみてください。
名前の由来は「カロライナ州の死神」
「キャロライナ・リーパー」って、ちょっとかっこいい名前だと思いませんか? 興味のある事柄の由来や起源というものは、何となく知りたくなってしまうものですね。ということで、その名の由来をご紹介します。
まず「キャロライナ(Carolina)」は、「サウスカロライナ(South Carolina)」で開発されたからです。カロライナ=キャロライナという訳ですね。意外と単純です。
次に「リーパー(Reaper)」。これは「死神」を意味します。死神は概念的に「Death」と表すこともありますが、タロットカードなどに描かれる大鎌を持ったガイコツ君は「リーパー」の方です。
つまり、「キャロライナ・リーパー=カロライナの死神」という訳ですね。
余談になりますが、そもそも「Reap」は「収穫する」という意味の英語。この言葉は、鎌を手に農作物などを刈り取るイメージがありますね。
画像を見ていただくと分かりやすいと思いますが、キャロライナ・リーパーには死神の持つ大鎌に似た「尻尾」があります。この辺も由来に関係しているという説があるようです。
この尻尾はものすごく大切な役割を果たしています。それは、この唐辛子がキャロライナ・リーパーであること証明しているということ。
いくら毒々しい形をしていようが、ものすごく辛かろうが、この尻尾が無いものはキャロライナ・リーパーとは認められません。死神の大鎌に似た尻尾があって、はじめてキャロライナ・リーパーと認められるのです。
キャロライナ・リーパーの生みの親は
Ed “Smokin’” Currie(エド・カリー)氏
キャロライナ・リーパーは、自由の国アメリカで産声を上げました。
場所は北大西洋に面するサウスカロライナ州ヨーク郡最大の都市ロックヒル。生みの親は、唐辛子関係の企業「パッカーバッド・カンパニー」の経営者であるEd “Smokin’” Currie(エド・カリー)氏です。
激辛唐辛子の栽培に挑戦する人々のことを「Chili heads」と呼びます。中には一攫千金を狙って栽培する人もいるようで、ブリーダーたちは日々品種改良を重ね、激辛唐辛子づくりに奮闘しているとのこと。
しかしキャロライナ・リーパーを作ったカリー氏は、彼らとは一線を画す理由から唐辛子栽培に着手したようです。これについては、「チリチリマガジン」さんの記事に詳細が書かれていました。
要約すると…
エド・カリー氏の家系はガンや心臓病に悩まされていて、この不運から脱却するべく、彼はこれら病気についての研究を始めたそうです。
世界中のデータを集めて病気の発症率の低い地域を分析。さらに食生活に着目します。するとどうでしょう日々の食卓に唐辛子が入っているではありませんか!
…てな具合ですね。
ちなみにカリー氏は、その後も研究を続け、キャロライナ・リーパーを上回る辛さの唐辛子と生み出そうとしているようです。もはや「病気のための研究」を通り越してしまっているのかもしれませんね(笑)。
※外部サイトに移動します
【後編】キャロライナ・リーパーを食べてみた!
言葉では伝わらないキャロライナ・リーパーの辛さ
さて。
キャロライナ・リーパーを語る上で外せない話題。そう、「辛さ」についてです。世界一辛いというのはいかほどのものなのか? 皆さん興味のあるところではないでしょうか?
「死ぬほど辛い!」
と言ってもなかなか伝わらないと思いますので、まずは公開されているデータでご想像いただきたいと思います。
キャロライナ・リーパーのスコヴィル値は、最高記録の個体で2,200,000SHU(220万スコヴィル)。これは「220万倍に水で薄めれば辛くない」という意味。もう少し具体的に言えば、0SHUがピーマンなので、「220万倍に水で薄めればピーマンになる」ということです(笑)。
ちょっと計算してみましょう。
仮に1gのキャロライナ・リーパーを食べたら、2,200,000ml=2,200Lの水を飲めば辛くないという訳ですね! ちなみに、私たち人間は60%が水分でできていると言われています。水分摂取量の目安は1日に約1.5L。えーと…2,200L だと1500日分くらいですかね!
まず無理でしょう!
次にキャロライナ・リーパーの商品や、販売されている種に記されている注意書きを見てみましょう。以下は一例ですが、どれほどの辛さ・危険度かはきっと伝わると思います。
- 失明しますので、取り扱いには十分に注意してください。
- 直接吸い込まないようにしてください。
- 取り扱いには「ゴーグル」、「手袋」、「マスク」が必須となります。
- 皮膚がただれる場合がありますので、触れてしまった際には洗浄してください。
- 何が起こっても弊社では責任を負いませんので、予めご了承願います。
キャロライナ・リーパーの一味唐辛子「死神」を
焼き鳥にふりかけてみました
居酒屋を経営している知人が「どうしても死神を食べてみたい」と言うので、命知らずだなぁと思いながらも食べさせてみることにしました。
そのまま食べてもらっても面白いのですが、せっかくの飲食店なので、今回は焼き鳥に振りかけてみることに。
…残念ながら悶絶中の写真はNGとのことでした。ハンパなくおもしろかったので、本当に残念…。
私も食べてみましたが、個人的に辛かったのは「皮」でしょうか。単に振りかける量が多かったからかもしれませんが…。
ちなみに、美味しかったのも「皮」です! 個人の感想ではありますが、皆さんもぜひ挑戦してみてください! 居酒屋の店長が悶絶したことは言うまでもありません(笑)
キャロライナ・リーパーを使用した一味唐辛子「死神」を
たくさんの人に舐めてもらいました!
居酒屋の店長は悶絶顔NGでしたが、それでは皆さんにキャロライナ・リーパーの辛さが伝わらない…。
と言うわけで、犠牲者を増やすべく皆さんにキャロライナ・リーパーの辛さを正しく伝えるため、快い仲間たちに「死神」をふるまってみました。
以下は某飲み会にて…。
最初のターゲットは知的な雰囲気の漂うこの女性。
ちなみに隣にいる男性は旦那さま。楽しそうなお酒で何よりです!
続いては誠実そうなそうなこの男性。不安そうな表情ありがとうございます(^^♪
優しい方が飲み物を勧めてくれています…が、これはハイボール。アルコールは辛味を倍加させてしまいますので、皆さんご注意を(笑)
ちなみに、ワタクシ伊藤が食べるとこんな感じ。
世界の勇者によるキャロライナ・リーパーチャレンジ
「世界一」と称されるものには、多くのチャレンジが寄せられます。もちろんキャロライナ・リーパーもその例に漏れず、さまざまな方面からのチャレンジャーが集っています。
キャロライナ・リーパーの大食いギネス記録更新
2016年にNYで行われたキャロライナ・リーパーの大食い大会。主催はもちろん生みの親であるエド・カリー氏です。
「1分間にいくつ食べられるか」というルールで行われた本大会で、恐るべき記録がたたき出されました。その数なんと22個!
勇者の名前はWayne Algenioさん。当時31歳の青年だそうです。もちろんギネス記録が更新されたことは言うまでもありません。
オーケストラとキャロライナ・リーパーがコラボ?
もうひとつ、一風変わったチャレンジをご紹介します。キャロライナ・リーパーを食べたオーケストラは、果たして無事に演奏できるのか? というチャレンジ。
演奏はデンマーク国立室内管弦楽団。曲目はヤコブ・ゲーゼ氏の名曲「タンゴ・ジェラシー」です!
序盤は華麗で荘厳な演奏が続きます(詳しくありませんが…)。1:37あたりで指揮者がキャロライナ・リーパーを手に微笑むと、メンバーも次々に激辛唐辛子を手に取ります。
全員が実を口に含み、演奏を再開。すると案の定! その辛さに顔をゆがめながらも演奏を続ける奏者の姿が!
特に管楽器の人は大変そう…。
4:15に演奏が終了すると、「オゥ~」とか「アァ~」とか言いながらうなだれる皆さん。次々と舞台裏へ移動して行きます。水を飲みに行ったのであろうことは、想像に難しくありません。
しかし演奏をやり遂げるとは…さすがはプロフェッショナルですね!
最後に営業させてください!
いかがでしたでしょうか? 世界一辛い唐辛子キャロライナ・リーパーの魅力が伝わりましたか?
……もしかすると敬遠されてしまったかもしれませんね(泣)。読み返したら「キャロライナ・リーパーを食べてみたい!」と思わせるような内容ではないことに気づきました…。
でもでも、辛いもの好きの人にはおススメの品です! これは本当。国内で販売しているところは限られていると思いますので、ご興味のある方はぜひお買い求めください!
ではまた次回♪